2011年5月3日火曜日

風が吹けば桶屋が儲かるの心理学~或いは不幸があると映画館が儲かるの法則~

先日G.W.中に我々がよく行くショッピング・モール内に有る映画館の横を通ったのだが長蛇の列であった。
その帰り道、レンタルビデオ屋の前を電車が通過したのだが車窓から映る景色はやはり同じ物であった。
震災後どこもかしこも”自粛ムード”に包まれ、なるべく遠出は避け近場でという意思が働いての事と思う。

実はこの光景、昭和から平成へ変わる時も目にしている、言わずと知れた昭和天皇御崩御の時であった。
その時もTVは完全自粛ムードであり、人々はこぞってレンタルビデオ屋へ走り此処でもやはり長蛇の列がなっていた。

人は何故このような大きな憂い事があると映画やレンタルビデオ(DVD)に走るのだろう?
それは脳内に於ける情報のアップデートが主な原因の一つである。

昭和天皇御崩御の際も今回の震災でも流れる映像は同じマイナスイメージを与える物であった。
粛々と厳粛なムードの御崩御及び昭和天皇の足跡を辿る映像が延々と流される、或いは悲惨な被災地の映像が延々と流される。案外知られていない事だが人間が受ける苦痛の中で尤も耐え難い苦痛は”五感を奪われる事”である。
実際或る大学で全ての五感を奪う実験をした所、全員が半日と持たず大暴れをしたという結果報告がある程である。

TV で同じ映像を流す行為はこの”五感を奪う事”に於ける”視覚と聴覚”を奪う行為でありそれは人間には苦痛に感じる行為である。更に映像が与える影響は擬似 的に触覚すら影響を与える事がある。極寒の地の映像を見させられて夏なのにブルっと体が震えた記憶がある方は少なくないであろう、正にあれである。毎日悲 惨な映像や悲惨なニュースを耳にする行為は人間にとっては五感を奪われる行為に等しくそれらは苦痛を伴って”心”に襲い掛かってくる。

其処から逃げたいという逃避欲求が起こりその結果、脳内の映像のアップデートを心が強く望むようになる。
それらはマイナスイメージからはかけ離れたプラスのイメージである、それ故人は映画やDVD鑑賞に走るのだ。

事実私が知りうる限りこのG.W.中何処の映画館も満員御礼という事であった。
人々が如何に”脳内映像のアップデート”を望まれておいでであるかがそこでも良く判る。

被災地の現状を伝え、被災者方々のお苦しみを共有する事はとても大事な事であるしそれを否定はしない。
さりとてそればかり見させられても今度は共感から反感へと変わり共有から離脱の方向へ心が移行してしまう。

”常態性行動”の欄でも触れたが人間同じ行動を取り続けるとそれが常態となってしまう傾向がある。
そうなると(というか既にそうなっているのだが)デフレスパイラルの要因ともなりかねない(というか既になっている)。

被災者を救済する側が経済的不安定さを抱えてしまっては被災者救済には手を出したくとも出せなくなる。
そうなれば被災地復興自体が更に遅れる事となり被災者方々へ更なるお苦しみを与える結果ともなりかねない。

政府、マスコミ等にはそういった事も考慮に入れ慎重に事に当って頂きたいと切に願いたい。

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