2011年6月1日水曜日

ランナーズハイの心理学~或いは脳内麻薬の恐るべき罠の心理学~

今回の震災を通して日本人、嫌、世界の人々が学んだ事ーそれは”耐える事”と思います。
被災者方々は今も不自由な生活を懸命に”耐えて”居ます、その姿に世界が涙し共感しました。

今回これほど多くの義捐金が世界中から集められたのもこの”日本人の耐える姿勢”に感動した為というのも大きい。

それほどまでに日本人は”耐え忍ぶ事”を尊ぶ世界にも類を見ない珍しい国民性を持っているともいえます。
この”耐え忍ぶ事を尊ぶ姿勢”は何処から生まれたのか?それは日本の気候風土がそれを物語っています。

周りを海に囲まれ海洋資源や山林等自然資源には事欠かない日本ですがそれでも”足りない物”は沢山あります。
今は政治的外交関係で国内生産で賄える物まで輸入に頼らざるを得ない日本ですが太古の昔より他国より鎖国時代も様々な物資を”輸入”に頼りながら日本は生き延びて参りました。

されどそれも安定供給が成される訳ではなく輸出国の生産高が落ち込めば当然輸出用物資は抑えられ自国へ回され結果日本へは物資が不足する事態というのも当然の事ながら起こりえます。

その際、日本人である我々は只管”耐える”しかなくそれ以外に手段は有りません。
又、昔から”武士道”や近年でいえば”我慢大会”等、”耐える事を美徳”とする国民性でもあります。

勿論、耐える事は誰しも嫌いでなるべくなら”我慢”などしたくはありません。
先人は”我慢は買ってでも白”と言われるがその先人とて”好んで我慢”はなさるまいでしょう。

されど”どうしても我慢せざるを得ない時”人の体はその”苦痛”を”快感”へ代える術をちゃんと持っております。
それが”脳内麻薬”と呼ばれる物質であり、人は過度の”苦痛”を受けた際、一時的に”苦痛”を”快楽”へ変える術をちゃんと体内に持っております。それがあればこそ日本人は”耐え難きを耐え、偲び難きを偲んで”参ったのです。
所謂”ランナーズ・ハイ”がその一番の好例でございましょう、長距離ランナーがその余りの過酷さに”苦痛”を一時的に”快感”へと脳内で変換してしまう事、それが”ランナーズ・ハイ”であります。

その術が有ればこそ、日本人は”耐え難きを耐え、偲び難きを偲んで”参ったので有ります。
所が…先程”脳内麻薬”と申しました、そう、これも”麻薬”の一種でありますので、”常習性”という物が当然ございます

それが表題にある”罠”の部分であります。

”苦痛”が”苦痛”のまま脳内に留まるのなら人は好んで”苦痛”を受けたりはしないでしょう。
されどその”苦痛”が”快感”に変わるなら話は別です、”体”はそれを拒んでいても”心”がそれを欲する限りそれらを人は求め続けます。正にランナーが”死ぬまで走り続ける”のと同義であります。

されど先程も述べました通り、”脳内麻薬”とは”一時的に苦痛を麻痺させ快楽とする代替措置”でありそれが長く続けば当然の事ながら肉体に過度なストレスや疲労を与える事となり、どんどん肉体は衰え内蔵機能も衰え続けます。

その結果、限界を超えた肉体や内臓はその機能を停止し、”死”を突然迎える事となります、これが”突然死”の原因。
昨今”過労死”が問題視されておりますがこの”過労死の要因にも実はこの”脳内麻薬”が大きく関係をしています。

”家族の為、会社の為に働く自分”に快楽を見出し、進んでではない物の”苦痛”を脳内麻薬で”快楽”へと変換し続けた結果、体は酷使に酷使を重ねその結果、二度と元には戻らない体となり、最悪”過労死”を迎える事となるのです。

そうなる前に”我慢も限界がある”という事を自らが知り、”脳内麻薬”のお世話にもならずに済む程度の”息抜き”は絶対に必要であると考えます。”脳内麻薬の多量分泌による突然死”なんてとんでもない事であり笑える話に非ずです。

”遺されていく者”の悲しみはそれを失った者でしか決して味わう事はできません、されどその時にはもう遅いのです。
私も亡父を”過労死”で半ば亡くした様な物ゆえにその悲しみは”実感”出来ます。

どうか”エコノミック・アニマル”に成らないで下さい、必要以上に”脳内麻薬”を分泌させないで下さい。
何より”あなたの大切な人たち”を悲しませるような事だけは決してしないであげてください。

あなたがあなたとしてこの世に居られるのは”今”だけなのです、前世でも来世でもなく”今”だけなのです。
それだけは決して忘れないで下さい、”愛する者の為に死ぬ”のではなく”生きて”下さい、お願いします。

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