影ぼうし~もう一人のボク~
夕日が迫る帰り道、パパと手を繋ぐボクの前に長い”影”ができた。
ボクが歩くと影も歩き、ボクが止まると”影”も止まる。
ボクはふと立ち止まりじっと”影”を見つめた。
本当はどっちが本当のボク?パパと手を繋いでいるボク?それとも…。
急にボクは恐くなってパパの手をぎゅっと握り締めた。
パパにボクの漠然とした不安が伝わったのか優しい笑顔で更に強くボクの手を握り返してくれた。
ボクは安心して又、歩き始めた。
ふと後ろを振り返ると先程の”影”が後ろから何だか嬉しそうに手を振っている様にボクには見えた。
ボクは心の中で小さく手を振りこういった、”バイバイ、もう一人のボク”と。
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