実に多くの人との出会いが有り今の私という存在を作って貰っている事に心から感謝である。
心理職というとお心を病まれた方のお心を治す事が本業だと思われている。
実際それで解釈は間違っていない。
されど我々は予防医学の立場から我が門を叩く人の中で”このまま放置していたら間違いなくお心を病まれるな”という人の心を”守る”仕事も大事な役目であると認識をしている。
その意味において我々は”万事屋”的であると言って良いと思う。
例えば”夫婦問題”を例にとって考えてみる。
夫婦問題解決カウンセラーならば”関係修復”の方向へ持っていかれる方が多いと思われる。
一般的にはその考え方で間違いはないと思われるが”常態行動心理学”的には少し違う。
夫婦関係に問題が生じる事の多くは”常態行動”にあるといっても過言ではない。
新婚当初ならまだしも経年と共に相手の存在が段々と”特別”な存在ではなくなってくる。されど法制的には”配偶者”となっており日本人は特にその”法制的婚姻関係”をとても重要視する。
平たく言えば”世間の目”という奴である。
親類縁者の手前、ご近所の手前、仕事の手前”離婚”という事態は”体裁が悪い”から避けたいという人がとても多い。
もしもこれが”愛しているから”という理由で有るならば話は別でありそういう夫婦なら我が門を叩く事すらないであろう。
大抵我が門を叩く方々は”愛している”という最も人間的で生物学的な理由を忘れている人が多い。
そして制度上の”夫婦だから”という事を理由に挙げる配偶者がとても多い。
されどそれ自体が”常態行動心理学”的にはとても危険な状態であると言って良い。
”愛がない夫婦関係”程心に苦痛とストレスを溜め込む物は存在しない。
言うなれば互いが互いの作った”鳥籠”に否応無しに閉じ込められている状態である。
身体的自由はあるけれど精神的自由は奪われている。
人間、行動的自由と精神的自由のどちらを奪われるとよりストレスを感じるかと言えば明らかに後者である。
例えばとてつもなく広い土地に一人ポツンと置かれた事を想像して貰えば解りやすいであろう。
行動的には何ら制限はない。
されど無限に広がる空間の中で誰とも合わず会話をする人もいない。
これは行動心理学的には”時が止まっている”のと同義でありこれ以上の苦痛は私は存在しないと思う。
話が少しそれるが『浦島太郎』が持ち帰った『玉手箱』がおじいさんになる煙だったというのがその証明である。
つまり場に応じた年齢になる事で場との違和感をなくそうというのが玉手箱の狙い。
人間は”時の流れ”の中で生きておりそれを戻したり進めたりはできない。
人間は”時の流れ”だけは制御不能である。
話を元に戻そう。
つまり夫婦関係が経年と共に変化しその変化に互いが気づけず互いが互いの鳥籠に押し込まれ窮屈さを感じている事自体が”異常”であり、その事が”お心を病む原因”となっているならば、心理職としてその関係は改善せねばならない。
私はこの場合”修復”よりも”再構築”を勧めている、つまり”離婚”である。
多くの人からは理解を得る事は難しいと思われるがもしも”修復”が互いに可能である範囲に居るならば互いが其処に気付き最初から改善していると私は思う。
されど経年と共に互いの存在が希薄となり其処に気付けず元に戻れない距離まで心が離れてしまっているならば、私はその距離を又、一から縮めるよりもその時点で最も近い距離の人との再構築を進めている。
距離を縮める努力は結構大変でありその努力を惜しまない人なら夫婦関係に問題は初めから生じない。
其処で問題が生じている時点でその距離はもう埋めようがない程離れている。
其処に気づけなかった各々のミスでありそれは各々が背負うべきペナルティである。
夫婦問題を語る際一番ネックになるのが”親権問題”である。
大抵の場合は”経済力がある方”が親権を得る場合が多く、旦那のDVが原因等の場合は妻に親権が行く場合が有る。
中には”子供の為に今は我慢する”という夫婦も居られるが私は”殊勝なお考えで”と手放しでは喜べない。
場の構成員の中に夫婦と子供がいてその夫婦の関係が破綻していてその場の中に子供がいる。
夫婦とも子供を愛しているが夫婦自体に愛はない。
実はこれも常態行動心理学的には今度は”子供”に精神的ストレスを与える結果となる。
両親は自分を愛してくれている、されどその両親は互いを愛していない。
それは自分が存在しているからだとし幼少でもそれにより”トラウマ”を残したり成長過程において様々な問題を発生させる。
”子供嫌い”になったり”異性を愛せなくなる””愛情という物が理解できない”等で有る。
こうなったら何の為に、誰の為に離婚を選択しないのか解らなくなる。
本当に子供の事を思い、子供の将来を案ずるならば”再構築”を選択すべきだと私は考える。
と言う事を昨夜の準夜勤の看護婦さんとの会話の中でふと頭に浮かびました。
勿論看護婦さんの夫婦関係が破綻しているという訳ではなく”今は”大丈夫らしいですけれどw(単身赴任でかなり孤独を味わっておられる様子、これが一寸気になります)。
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