今年もやってきたSt.Valentine。1年1度女の子が男の子に心を込めて愛を込めてチョコを送る日。
この日の為に女の子は何ヶ月も前から色々な策を練り本命の男の子を”落とす”作戦を色々と考える。大好きな男の子の為に一生懸命努力する女の子の姿はとても美しい。
何かに夢中になる人の笑顔はとてもキラキラとして輝いているように僕には見える。
そして僕も今年で8回目の”本チョコ”を貰える。
世の中では”義理チョコ”や”友チョコ”など”本チョコ”以外の儀礼的なチョコ習慣がある。
1年に一度位チョコレート会社の策略に乗ってあげても良いと思うが僕は”本チョコ”以外のチョコは貰わないと心に決めている。
それは約20年前、一寸切ないヴァレンタインの日の出来事が原因だった…。
僕はヴァレンタインの前後にショーケースに並ぶチョコを見るのが昔から大好きだった
色もとりどり味も形もとりどりのチョコ達は見ているだけでとても楽しく愉快になる。
チョコを買わなくてもいい、只、見ているだけで心がウキウキと躍りだす。
そんなチョコを見るのが大好きで僕は良く近所の百貨店のチョコ売り場へ足を運んだ。
僕はウイスキーボンボンが好きで毎年同じウイスキーボンボンを買っていた。
毎年様々なチョコが並び店員さん方々もチョコを売ろうと必死になっていた。
ある日の事…何時もの様にショーケースに並ぶチョコを見ながら歩いて居たときの事
妙齢の女性店員さんが近づいてきた、目を見た瞬間”やばいな!”と感じた。
僕の”嫌な予感”という奴は大抵当たるのだ、宝くじや懸賞は外れるけれど何故か自分に害を成す存在の予感という奴は昔から外した事が無い。
”以心伝心”恐らくそんな物だろうか?相手が自分を嫌っている事を解ってしまう。
面倒だなと何時も思うのだがこればかりは自分自身でどうしようもない。
その日もそんな状態だった。
卑下た薄ら笑いを浮かべ妙齢の女性店員は僕に近づいてきた。
そして一言こう言った。
”最近は男性がチョコを買われる事も多いんですよ、何、恥ずかしがる事は有りません。女性からチョコを一つも貰えず自分用にチョコを買っても全然おかしな事ではないんですから…”と僕に一瞥をくれた。
女性客に混じって男性客が買物に来たのが癪に障ったのか?
それとも違う理由だったのか?当時の僕には解らなかった。
でも一つだけ確かな事があった。
それはその妙齢の女性店員が明らかに僕を侮蔑していたという事。
(どうせこんな車椅子、チョコを挙げる彼女なんて居ないだろ)
この時、僕は人の心を読める能力を有する事を始めて呪った。
この能力さえ無ければこんな惨めな思いをする事は無かったのに…。
確かに当時僕には彼女も義理チョコをくれる女友達も居なかった。
チョコをくれるのは何時も母親と姉そして父の会社の事務員さんだけだった。
僕はそのまま黙ってその場を立ち去り…その日の夕方僕は近所の高台に居た。
そして訳も無く叫んでいた、恐らく近所の人が見たら頭がおかしくなったと思うだろう。
でも僕は人目を憚らず泣いたそして訳も無く絶叫した。
悔しくて悲しくてそしてそんな事で嘆く惨めな自分が情けなくて…。
その時、僕は心に決めた。
”絶対義理チョコは貰わない、僕は何時か必ず本チョコを貰える男になる。その時まで僕は絶対義理チョコは貰わない”と…。
あの日から既に20年近くが経過した。
今、僕は大学で教鞭を取る立場となり多くの生徒や同胞に囲まれる日々を送っている
あの日から僕は変わった、お洒落にも気遣うようになり常香水も付けるようになった。
香水と葉巻とグラサンとZIPPOライターと手袋…これが僕のトレードマークとなった。
あれから僕は死ぬ程勉強し地元で一流と呼ばれる大学も出て今は多忙な日々を送っている。あの時の悔しさがあの時受けた心の傷が、そしてあの時受けた屈辱が今までの僕をある種支えてくれたといっていい。
絶対に負けない!そう心に決めて我武者羅に頑張ってきた20年だった。
あれから多くの同胞や大学の後輩からもチョコを貰える立場となったが僕は受け取らなかった。”本チョコ”を貰うまで僕は頑張るんだ、そう心に決めたから…。
今、僕の手元にはたった一枚のチョコレートが届く。
幾つ物店舗を回り全てのチョコレートをノートに記載し何度も何度も遂行し何ヶ月も掛けて選ぶ最高の一枚。
僕はやっと”本チョコ”を貰える立場となった。
2.14.Valentine Day
今年も一寸切なくてそしてちょっぴり甘い日がやってくる…。
追伸
これは実話です^^;
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