2013年3月23日土曜日

『成長の心理学〜或いは常態行動心理学的刺激の心理学〜』


数ヶ月ぶり、下手をしたら年単位で我が教え子と会食を共にした。
何度か行き帰りの電車ですれ違う程度の出会いは有ったがゆっくりと話す機会を得たのは久しぶりであった。
風貌は変わらず、真面目を絵に描いたような好青年。
されど中身はしっかりと成長の度合いを示していた。
契約社員から正社員となり仕事場も変わり暫くは居住区も移って居た。
結局諸々の理由で家から通いとはなったがその数ヶ月が彼を大きく変える転機となった。
彼自身はまだ気づいていないが彼の目の奥の輝きの違いを私は見逃さなかった。
先ずは契約社員から正社員への職業的ステータスの変化。
これには当然責任度が変わってくる。
契約社員の頃と比べて仕事の内容も仕事時間も当然保証もサラリーも違ってくる。
そうなれば当然契約の頃よりも”責任”の重さはかかってくる。
勤務時間も長くなり勤務内容も責任を問われる物が増えれば当然自己責任の重さは自らが感じざるを得ない。そうなれば無意識的に成長をしていかねば現行のままでいられない。
後輩の有無は契約社員の頃と同じでも様々な環境変化は責任を持たせるには十分。
次に転居に伴う五感情報の変化。
実はこれが一番大きい、今迄数十年慣れ親しんだ場所を離れまだ見ぬ土地へ移動する。
当然五感情報は全てアップデートされ脳内情報は全く異なる物となる。
日本人が海外出張で長期滞在し帰国の途に着くと別人となっているケースがある。
実はその正体がこの五感情報のアップデートが原因である。
彼の場合安穏とした場所から急に雑多な人がいる場所へ移動となった。
長閑な風景は一変し都会へ移る事となった。
当然その中で生きて行く為には自分自身を変えて行かざるを得ない。
何も持たず海外へ行き生きる為に必死に語学を覚えるのと同じ。
生きる為に人は五感情報をフル活用し今の生活に馴染める自分を作っていく。
その五感情報から受ける刺激が脳を活性化させ肌を活性化させる。
風貌を変え、考え方や物の見方を変えていく、それが成長に変わっていく。
彼が短期間で目覚しい成長を遂げた裏にあったもの、それは五感情報のアップデートにあった。
そして其れこそが”常態行動”の変化にあったのだ。
生まれてから転居する迄の年数よりも短い年数なれどその分五感から得られる情報は新鮮な物ばかり。
そうなると脳はその中で様々な刺激を受けていく。
それが”常態化”され刺激を受ける事で成長が叶う。
されど全ての人間がそうなるかといえばそうではない。
以前の生活に満足し今の生活に不満がある人はその成長の度合いが遅くなる。
それは今の生活が嫌で元に戻りたいという欲求が成長を阻害するからである。
最初は誰でも不安で一杯で出来るなら戻りたいと思う筈である。
されど逃げられないと諦めた瞬間から成長は始まる。
諦める事はそれ自体が悪い事ではなくそこから始まる成長が大事である。
されどその諦めがマイナスに作用し燃え尽き症候群になるケースもある。
所謂”五月病”の原因が其処にある。
されどそれも”常態化”が成功すれば徐々にそれらの症状は改善されていく。
実は花粉症もその一つ、確かに杉や檜の飛散量は変化するが全体的な花粉飛散量は変わらない。
されど鼻が花粉を取り入れる事を常態化させる事で症状の軽減が成るのである。
それと丁度杉や檜の飛散量が減る時期と重なるだけの話である。
更に彼のそういう成長が我が脳に刺激を与え明日からの私の変化にも繋がって行く。
人の成長はその人だけの成長ではなくその人と接する人をも成長させて行くのである。
子の成長ぶりを見て親が成長をして行くのと同義である。
望むらくはそういう成長の連鎖が世界中で起きて欲しいと願う。
さすれば無益な血が流れる事も何時か無くなると私は信じている。
それを信じてこれからも多くの人を少しでも良き方向へとお導き差し上げたい。
それが私がこの世に存在している存在意義だと確信をしているからである。

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