2011年4月23日土曜日

俺の屍を超えてゆけ~或いは覚悟の心理学~

大学4年の夏、俺の所へ一人の後輩が訪ねてきた。
”りょうちゃん、俺今から彼女を殺しに行く”と告げて…俺はとりあえず彼を座らせて話を聞いた。
聞けば長く付き合っていた彼女が韓国旅行へ行って帰ってから急に態度を硬化させ始めたとの事。
訝しがった彼は遂に彼女のPCを開きメールを見た、そこには韓国に居る別の男との赤裸々な内容が書かれていた。
我が後輩はとても純朴な人で一途で融通が効かない所があった、それ故同じ頑固者の私とも意気投合したのだが。
私は言った”どうしても奴を殺しに行きたければ俺を先ず殺しそれからその屍を越えて行け。あんな奴の為にお前のこれからの何十年もの人生をふいにはしたくない。そんな惨めなお前を俺は見たくない。だから先ず俺を此処で殺せ”と。
彼は一拍大きく息を吸い込み、それからゆっくりと息を吐き冷静さを取り戻した後、我が元を去っていった。
それから1年後、今度は同じ悲劇を私が経験する事となる。

最初に付き合った彼女がいきなり別れ話を持ちかけてきた。
”これ以上私の事を嫌いになりたくないから別れよう”と言い出したのだ。

11歳差、年の差カップル等5万と居るが我々にとってこのジェネレーションギャップは到底埋まる物ではなかった。最初であった事も有り又、私自身の下らないプライドも手伝ってか私は最初ごねた。

だが、彼女の意思は固く私は不承不承承諾をせざるを得なかった。
そして…別れてから色々と彼女の”悪評”を耳にする事となった。

私と別れる少し前、”別の男”が出来、その男と”駆け落ち”する為、私を騙して”金を取り”そして逃亡する予定だった事
サークル内ではこの二人はトラブルメーカーで随分サークルメンバーも手を焼いており部長が首にした事等だった。

怒髪天を衝くという経験をしたのがこの時が初めてだった、そしてその時初めて後輩の”殺意”が私にも理解出来た。
だが図らずも私のその”殺意の炎”を消してくれたのはその同じ”殺意の炎”を嘗て私より沈下させられた後輩だった。しかも”私と同じ言葉”を吐いて^^;。
私の”殺意の炎”はその時消えうせ以降ずっと後輩とは”無二の親友”である。

私のサングラスに葉巻に香水を付けてという出で立ち、ブラックを好み、異なる国の二つの血を持つ人を”ダブル”と言う癖は全て彼から受け継ぎし物である。彼から貰った彼が書いた言葉の色紙は今も大事に保管されている。あれから既に20年近い歳月が経過している。

今、私が同胞に”真剣”になれるのはあの時の彼の”真剣さ”を見せて貰えたからだと思っている。
そしてあの時、彼に見せた”真剣さ”が今の私を作っているのだと思っている。

”真剣”な思いは必ず”人の心を動かす”、私はそれを身を以て体験しそして相手にも与えてきた。
これからも私は”真剣”に同胞と向き合い、”心の病”を克服していきたいと願っている。

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