2011年3月19日土曜日

常態性の心理学~或いは繰り返される日々の中に潜む悪魔の心理学~

常態性行動とは例えば親が子供を世話をしたりとか日常的に習慣的に行われている行為の事。
以前『甘えの心理学』でもこの常態性行動に就いては少し触れさせて戴いた。

大災害を経験した災害難民経験者の中には復興後『無気力症候群(バーンナウトシンドローム)』や『引き篭もり(ステイ・インドア)』に陥る方が居る。
阪神淡路大震災時にもこういう方が居てこういう方のセラピーをした事もある。

では何故災害難民の方の中に(全てではないが)そういう風になる方が居られるのだろう?
それが上記の『常態性行動』という物に大きく関係がある。

災害時救援物資が届き、被災地の復興が始まり自らが自らの意思で行動を取れるようになるまでかなりの時間を要す。
其の間人々は不安と恐怖の中で何とか生き延びようという事だけ考え、一日も早い”日常生活への復帰”を強く願う。
されど目の前に広がる風景に”目が慣れ”、 毎日繰り返される配給と無為な時間に”慣れて”しまうと大変残念な事だが今度はそれが彼ら・彼女らにとっての”日常”となってしまう事がある(あくまで一 部の方である事を強調)。

となると、本来の”朝出勤して、夜に帰り寝る”という行動が彼ら・彼女ら(一部)にとっては”異常行動”という風になる。
人間は この”慣れ”により進化進歩し文明を築いてきたといっても過言ではなくこの”順応性の高さ”が他の生物とは大きく異なる部分ではあるのだがそれがマイナス に作用するとこういう不幸な結果を生みかねない。

すると心が”働く事”を拒否し、”外へ出る事”を拒否るようになる。これが”燃え尽き症候群”や”引き篭もり”の元となる。

されど先に述べた通り、災害難民全てがこうなる訳ではない、前述したとおりそうなるのは”極一部”である。

では何故なるのか?”目の前で起こっている事象を心が認めるか否か”これが大きな分かれ目。
目の前で起こっている事象を”当たり前”とする人の中に上記のような疾患を患う人が多くそれを”拒否”する人の中では疾患を患う人は少ない。

これは”DVを経験した人が親となりDVを繰り返す”という定説が”嘘”である事と同じである。
DV を繰り返す人は過去DVを受けた時、そのDVを”心が認めた”方。それを”拒否”し続けた人はDVを繰り返さない。

これと同じで”非日常生活”である事を 心が認め、今までの日常生活と同じ時間に起き何らかの活動をし又同じ時間に休むと言う”習慣性”を維持できた方は『燃え尽き症候群』や『引き篭もり』には 至らないケースが殆どである。

確かに”何も無い焼け野原”で”災害前と同じ行動”を取る事は極めて困難である事は充分理解する。
されど”行動的”には無理でも”心理的”には可能である、自分の”心”で震災前と同じ”心”を維持する事。

そして何より”現状を受け入れない事”それが一番大事である。
これから復興が更に進みこうした心理的二次災害が出ない事を切に願いたい。

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