2013年5月12日日曜日

『表現の心理学〜或いは常態行動に於ける経年の衰えを感じさせない技の心理学〜』


過日去年の紅白において復活ガールズバンドよりも最も年長のベテラン歌手の方が声量があるという話を差し上げた。

普段からリサイタルやショーでその自慢の喉を披露している人と長年のブランクを置き急場凌ぎでスタジオに籠もり猛特訓を積んでもその差は歴然。それは常態行動に有ると言う話。詳しくは今年始め頃の和がFBページを参照願いたし。

今日はその続報。

例えば若かりし全盛期の頃あちこちのコンサートやイベント会場で自慢の喉を披露していた人が時の移り変わりと共に表舞台から段々と遠のき歌手よりも役者としての仕事の方が増えその絡みで久しぶりに自らが主演するドラマの主題歌を歌う事となるというケース。

そういう人の場合大抵全盛期の頃と比べ声量も表現力も落ちている場合がある。
これは経年による声量や声帯の衰えが原因ではない、実はこの原因も常態行動に有る。

全盛期、表舞台でその自慢の喉を披露していた人にとって歌う事は即ち表舞台である。

どういう事かと言うとステージ上で聴衆の喝采を浴びながらライトに照らされ生演奏で自慢の喉を披露する。勿論ステージ衣装でステージメイクもちゃんと施した上である。

翻り時流れステージで歌うよりTVドラマで活躍する方が増え久しぶりに主題歌を歌う事となってもその歌を披露する場所はステージではなく録音スタジオである。

衣装もなく、メイクも不要、観衆はスタッフばかりで照明も暗い。
勿論スタッフが歓声を上げる筈もなく観衆のようなリアクションもない。

実はこの五感が受ける五感情報の違いが声量や声帯に大きな影響を与えるのです。
つまり氏にとって本領発揮をする場所は舞台であり録音スタジオではありません。

嘗て観衆の中で感性を浴びながら派手な衣装とちゃんとしたメイクの中で歌を歌う事を繰り返していた氏にとってその状態こそ常態化され自らの歌の本領を発揮する場所でした。

されど時流れ録音スタジオで衣装もメイクも観衆もない状態では嘗ての常態化された情報は何一つ得られる事は有りません。それでは五感情報に誤差が生じ本領発揮出来ません。

本当に氏に本領を発揮させたいのであるならば小さい場所でも良いのでステージの上で観衆者の前で歌を歌わせる事です。

その事により嘗ての記憶が蘇り嘗ての声量や声帯が戻ってきます。
経年による衰えは勿論否定しませんがこの常態化こそが実は一番の原因。

ってな事を随分前知人の知人である或る元歌手の方にご助言差し上げた事があります。
氏はポンと膝を打ちそれからは地方の狭い会場でしたがステージ上で歌を披露し亡くなる迄経年による衰えを殆ど感じさせない舞台を演じ切ったという事です。

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