2012年6月21日木曜日

本気のススメ

『てめぇに何が解る!俺の苦しみなんざ誰もわからしねぇんだよ』 『は!なぁに気取ってやがる!誰も俺の苦しみなんざわからねぇだと?あたぼうよ、自分の苦しみを人に訴える努力も何もしねぇで何がわからねぇだ、ざけんじゃねぇ。一生懸命訴えてみろよ、叫んでみろよ、声を枯らして。そうすりゃあ一人ぐらいてめぇをわかってくれるやつもでてくらあ、四の五の言わねぇでやってみやがれってんだ』 『どうせ無駄だよ、俺みたいなワル誰も耳なんざ傾けてなんざくれねぇよ』 『は!やりもしねぇで試しもしねぇで弱腰か?そんな軟弱者、誰が相手すっか。勝手に殻にでも何でも閉じこんでやがれ。俺は帰る!後は勝手にしやがれ』 そう言って私はバタンと扉を閉めそのまま身を伏せた。 案の定、数分後慌てて彼は私を探しに外へ出た。 扉の後ろに私が居た事も気づかずに…。 方々を探したが私は見つからなかった、それもその筈、彼の後ろをずっと追っていたのだから(笑) 探し疲れた彼は小高い丘の中腹で遂に力尽き地面に伏せて泣いた、そして叫んだ。 『俺が悪かったよ。もう自分から逃げたりしないよ。だから帰ってきてくれよ、先生〜』 その声は眼下に拡がる彼の住む街に迄届きそうな声だった。 『やればできんじゃねぇかよ』 彼の後ろから声がした。 彼はまさか!と驚いた表情で後ろを振り向きそして抱きついて泣いた。 『先生〜、何処行ってたんだよ、ずっと探してたんだぞぉ』 『お前の後ろ。気づかなかったのか?鈍い奴だなぁw』 『え〜!酷いよ先生。それはないよ〜。』 『時には荒療治も必要だろ。そのお陰でちゃんと自分の意思で言葉で叫べたじゃねぇかよ。やりゃあできるじゃん』 『必死だったんだよ。今の俺には先生しかいないもん』 『大事なのはその必死ささ、今迄のお前に足りなかったのはそれ。全てを諦め後ろ向きに成り殻に閉じ籠り何時の間にか必死になる事すら忘れていた。けど人間窮地に追い込まれりゃあ必死になる。その結果がこれさね。これさえ手に入れりゃあもう怖い物なしさ。』 『俺もう一度学校に戻れるかな?前見たいに友達作れるかな?』 『今実践したじゃねぇか。出来るさその必死さがありゃあ』 『俺明日から学校に行く。もう一度頑張ってみるよ』 『おう!頑張れ。何時も俺はお前のそばにいるから安心しろ』 『うん!頑張ってみるよ』 十年後…彼は自らの実体験を元に引きこもり対策委員として彼の母校で教師として頑張っている。

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