2012年11月4日日曜日

症例に対する事前説明不要論

職業柄色々な方から精神疾患の症例についてのご質問を頂戴する。 普通の医者なら一般的な概略を説明しそれから相手の症状を聞くが私は敢えて逆の方法を取る。 其処には理由がある。 大抵精神疾患の症例に対する質問を下さる方は御本人様がその疑いがあるか或いはお身内や親しい人にその疑いがあるかが多く興味本位や知的欲求からそれらを聞いてくる人は少ない。 故に先ずは相手のお話を聞かせて頂く事でそれがその症例に合致する物であるかどうかをこちらが判断し合致する場合はその疑い有りとし合致しない場合は全否定後その理由を説明する。 内臓疾患と違い精神疾患の場合余程の事がない限り手遅れというものはないので兎に角同胞の不安を煽り希望を失わせるような事は言ってはならない。 精神疾患を治す元はというより疾病自体を治す元は同胞の中の治りたいと言う意思である。 我々心理職はこの同胞の治りたいと言う意思を支え励まし同胞の中に眠る自然治癒力を高め抵抗力をつけさせ心の病を追い出す事こそがその使命である。 有りもしない病名を付けて不安を煽り処方箋や診察料を貪る医者という資格を持った守銭奴とは其処が大きな違いである。 勿論採算度外視の本当の意味での名医と呼ばれる方々も沢山居られる。 されど名医が居れば藪医者がいるのは世の倣い。 そういう藪医者に診て貰い不必要な情報と不必要な不安を得た同胞にとって何より大事なのは大丈夫だという安心感である。 お心の乱れを正して安定させる。それだけで改善する精神疾患は山程ある。 私は心理職であり守銭奴に非ず。 不必要に同胞の不安を煽り法外な医療報酬を得るような守銭奴ではない。 故に私は概略的精神疾患の症例説明に対しては殆ど行わない。 それも又、心理職に求められている事であると私は考えている。

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