2010年10月25日月曜日

『自問自答の心理学』

私の知り合いに”大事な事はクマちゃんに相談しているの”と言う人が居る。
今は教壇に立ち多くの生徒を導く齢50を過ぎた女性の先生である。

彼女は小さい頃より母親から買って貰ったクマのぬいぐるみに向かって”ねぇ?私どうしたらいいと思う?”と問いかけていたという。

物言わぬクマから何時も彼女は答えを貰っていると言う…どういう意味か?
これが『自問自答の心理学』である。

クマの声…それは彼女の心の奥底にある”真実を告げる声”である。
答えは常に自分の心の中にあります、

潜在意識は宇宙意思と繋がり過去現在未来全ての叡智からその人が必要な答えを常教えてくれます。
時に”神”という姿を取って、時に”人の口”を使って、そして時に”くまのぬいぐるみ”を使って…

彼女の”クマのぬいぐるみが出す答え”は彼女自身の潜在意識(深層意識)が導き出した答えなのだ。

幼少の頃、彼女は誰よりも母を愛し、その母から貰ったクマのぬいぐるみをとても大切にしていた。
何度か引越しをしその都度何度捨てて行きなさいと言われてもクマのぬいぐるみだけは捨てなかった。

一度など火事で家が半焼した時も彼女は懸命にクマのぬいぐるみだけは持って出たのだという。
彼女にとってクマはそのまま母のイメージそのままだったのだろう。

彼女はクマへ問いかける事によりその後ろに母の姿を感じ取っていたに違いない。
彼女にとってクマは彼女の母の存在その物であった。

既に母はこの世には無く彼女自身人の親となり孫を持つ年代となった。
しかし彼女のボロボロになったクマのぬいぐるみだけはずっと彼女を見守ってくれている。

我々専門職もそのクマのぬいぐるみに同じ。

答えは、常、その人の中にあります。その答えを導き出しその人が見える形にしてあげる。
それが我々心理職のお仕事である、私はそう思って居ます。

”私はそんな貴女の人形になりたい…”第三舞台の”ビーヒアナウ”という舞台の最後の台詞です。

時の経過と共にその存在を忘れ去られた人形をふと尋ねてきた友人が欲しいと持ち主に迫る。
その時、感じる一瞬の愛おしさ、その人形と遊んだ日々が頭の中に走馬灯のように蘇る…。

友人の頼みを断り友人は去っていく、そして又人形は忘れさられる存在となる…。
でも決して悲しんではならない、その時感じた一瞬の愛おしさ、情熱は本物なのだから…。

私達専門職もこの人形に同じ。

我が門を去っていけば我々の存在は何時か忘れ去られてしまいます。
我々と共に過ごした日々すら時には忘れてしまうかもしれない。

でも我々はそれを悲しんではいけない。

我々が彼ら・彼女らと共に悩み、苦しみ、泣いて、そして笑った日々、それらは確かに有ったのです。
だから私は言います”そんなアナタの人形に私はなりたい”と…。

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