2010年10月26日火曜日

『騙しの心理学』 * 修正

5年以上昔の話、ある金持ちのボンボンが同胞で来ていた時の話です。


嘗ての彼の恩師が突然”神からのお告げ”で宗教家となり彼を”洗脳”しはじめたとの事。彼のお父上様は亡父と親交が深く私の事も幼少の頃から御存知でした。

”先生なら間違った息子の方向性を正してもらえると信じてます”と固く握手をされました。
父の古くからの友人であり私にとっても小さい頃からお世話になった方故こちらとしても採算度外視で何としてもご子息をお救い申し上げねばと思いました…(彼とも古い付き合いです)。

先ずは敵情視察とばかりに彼が”洗脳”された宗教団体の事務所(ってか掘っ立て小屋)へ…。事務局とは名ばかりのバラックで”何処が教祖やねん!”っと言った感じ。

”入信希望”と嘯いてパンフレットやら教義やら色々とお尋ねしました。
(正確には何とか入信させようとあの手この手を使って色々聴きもしない事まで喋ってくれたのですが^^;)。

まぁ”新手の宗教詐欺”だなという事だけは確信を付けたので早々に退散。
勿論書いた住所も名前も全て”嘘”ですから追跡される心配も有りません(爆)

その後彼と会いました。

と言っても只”あそこは宗教詐欺だ!!行くな!”と言っても聞く相手ではない事は自明の理。
故にここでもおなじみの"SEED療法”にて彼を”逆洗脳”する事にしました。

少しずつ少しずつ彼の意識を”宗教団体”から剥離していったのです。
当然あちらさんは彼の変化に気づきます、そして”お前は奴に洗脳されているんだ”と嘯き私から彼を遠ざけようとしました。

勿論相手がそういう行動に出る事は先刻承知。
故に彼にはある”決定的場面”を見て貰う事にしたのです。

宗教家の隠蓑を使って”金をむしり取ろうとする決定的場面”を…。
その宗教家が欲していたのは彼ではなく彼のお父上の”財力”でした。

その”財力を欲しがっている決定的場面”を彼の目の前で見せたのです。
当然彼の中の”恩師のイメージ”は音を立てて崩壊していきます。

その後彼の”洗脳”も徐々に解かれて行き遂には”脱会”という事となりました。
彼が私に一言…”お前は俺を洗脳していたのか?”と…。

私は言いました。”あぁ、敵を騙すには先ず味方からってな。頑固なお前に何を言っても無駄だろ?長年の付き合いがあるお前の事さ。俺が口で何を言っても聞 く耳貸さず位解るさ。だから先ずお前を騙して俺自身敵陣へ潜入し中から崩した。そしてその決定的場面をお前に見せえる事で敵の本性をお前に知って欲しかっ たのさ…傷ついたか”?と…。

彼は暫く黙っていました、そして一言…”あの人は俺が学校で苛められていた時俺を助けてくれた。恩師といっても命の恩人でもあったんだ、だから…”。

”人は変わる、良い方にも悪い方にもな。偶々あの人は道を少し間違えただけだ。これからは全うな道を歩んでくれる事を願うよ。”と…。

その後彼は父の後を継ぎ立派な二代目として今も会社を切り盛りしています。

人はあらゆる方向へ変わります、状況によって人によって時代によって…。
その変わる方向がその人が望む方向ならばそれでいい、我々は何も致しません。

しかし…その人の変わる方向がその人が”望まぬ方向”ならば…我々は全力で以てそれを阻止し彼が”望む方向”へ導く義務があると思って居ます。

彼はその後そういう”間違った方向へ行こうとする青少年”を諌め正しい方向へ導く仕事もボランティアで始めたそうです。

”嘗て自分が間違った方向へ進んで行った時その道を正してくれた人が居た。その人の恩に報いる為にも俺は間違った道へ進みかける青少年を正しい方向へ導いてやりたい、一度間違った道を進みかけた俺だからこそ出来る事だと思う”と…。

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