2010年10月25日月曜日

サルでも解る心理学~或いは可能性否定の心理学~

今年だけではないが『サルでも解る~』シリーズのようなHOW TO本が今年も盛況を極めたらしい。
HOW TO本その物を否定するつもりはないがこのネーミングには若干の異議を唱えたい。

失礼ながら人間様よりおサルさんの方が遥かに学習能力をお持ちである。
人間の中には何度教えても理解しないお馬鹿が居るがサルは一度教えたら中々忘れない。

サルを人間と同等レベルにまで押し上げるのではなく人間をサルと同等レベルまで落として考えた場合、
彼らの知能指数の高さには驚かされる。

特に数リンピックで毎年日本人が泣かされている応用問題に関しては完璧にその御株を取られたと言っても過言ではない。彼らの応用テクニックの妙は特に頭の固い現代日本人には学ぶべき点は沢山有る。

大分昔の話となるがある会社の社長に呼び出され相談を受けた。
或る部署の成績が著しく悪くその原因を色々と探るもどうも要領を得ないという。

その部署は結構社内でも重要な部署故何としても原因を探りたいとの事。
社内の人間は信用できないらしく(その時点でかなり終ってると私は思ったのだが勿論口には出さなかったw仕事がなくなるから(笑))古くからの知り合いの私にお鉢が回ってきたという物。

何食わぬ顔をして社内に潜入、社員食堂でOLさんや若手社員を中心にリサーチを開始した。
相手は此方が車椅子で在る事も手伝って結構直ぐ心を開き打ち解けペラペラと色々喋ってくれた。

その中である結論に達し早速社長へその旨報告へ上がった。

その部署の長(つまり部長)のOさんは悪い人ではないのだが言葉の使い方が乱雑で粗暴極まりない。
部下を鼓舞して成績を上げようとしているのは解るがその言い方は余計部下の士気を落す物であった。

”○○君、大丈夫、君でも出来る、こんなもんサルでも出来るんだから君に出来ない筈はない、頑張りたまえ…”

言った方は励ましのつもりだろうが言われた相手はサルと同レベルに扱われたと思い益々やる気は失せる一方である。これでは士気は上がる処か鰻下がりに下がる一方である(笑)。

ではどうすればいいのか?社長へこう私は進言した。

”この仕事は君にしか出来ない、他の者では到底無理だ、でも君ならやれる。私は君の○○の才を充分買っているつもりだ。な?やってくれるだろ?”と…。

言ってる内容は同じだが言い方一つで相手に与える印象は随分と違う物となる。

部下は”部長は俺にしかできないと言ってくれた、しかも俺の○○の才を買ってくれているとも。部長はちゃんと俺を見てくれている。この仕事何としても俺を買ってくれた部長の為にも頑張るぞ”となる。

間もなく部内の成績は上がり社長も大喜びとなった。

人は”言語を介する唯一の生物”である。

”○○でも出来る”ではその人の可能性を軽んじ敷いてはその可能性その物を否定する言葉と取られかねない。そうなってしまっては折角の鼓舞が無駄になってしまう。

”○○君にしか出来ない”となれば可能性否定ではなく可能性固定となり言われた方は”選民意識”を持ちやる気も上がるという物。

某信玄公の言葉ではないが『人は石垣、人は城 人は堀、情けは味方、仇は敵なり』
最後まで家臣は元より民衆に至るまで細部にまで気を配った信玄公だからこその名言である。

今でもご当地には信玄公の名を借りた郷土料理が沢山ある。
それは時代を超えて尚、君主の名を後世に残そうとする民の心である。

上へ立つ者のお手本と言えるのではないだろうか?
私は下を持つ者ではないがこの信玄公の教えは常念頭に置き又『風林火山』の戦術を自分の仕事に活かしている。

私の心の中にも又信玄公は息づいている…。

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