インプリンティングという言葉が精神医学の世界にはある、直訳すれば『擦り込み』という意味である。
有名な話だと1970年代米の某映画のコマの中に某炭酸飲料水メーカーのコマーシャルを何万分の一コマ単位で入れた所、その映画を見終わった後の売り上げがかなり伸びたという報告がなされている。
人間で言う所の”癖”もこのインプリンティングのせいである。
某お笑い芸人が首を傾げるのも最初は業とだった物が繰り返されることで本当の”癖”となってしまった。何度も同じ行為をする事によりその行動や思考が脳に”刷り込まれ”て仕舞う訳である。
我が元にはこの”擦り込み”による被害者が毎年かなりの数やってくる。
小さい頃より親・兄弟・近所や学校仲間から”貴方は○○な人よね”という間違った情報を植えつけられる。例えば線が細くて声が小さい人に”性格的におとなしい人”だとか”クラシックが好きそう”だとか…。
んでそれがそのまんまなら問題は無いんですがそれが違っていた場合最悪”人格剥離”に繋がりかねない。
本当は○○な人なのに周囲から長年△△な人と言われ続けその違和感の中でずっと生活を送ると人は自分という存在が解らなくなる、自分と言う存在が希薄になり、最悪嫌いになる。そうなるとかなり厄介だ。
ある元・自動車メーカーの販売員さんだった人は元々ロックが好きでロッカーになりたかった。
しかし小学校から大学を出るまで親の意向にずっと沿う生き方しか出来ず結果リーマンとなった。
偶々ご縁を頂いてお会いしたのだが私は彼の今の職業が向いて居ない事をすぐに見抜いた。
そして本当は”ロックをやりたいのでは?”という事も直ぐに解った。
それを告げると彼はとても驚いた様子だったが同時にとても安堵しとても喜んで居た。
それは”やっと本当の自分を解ってくれる人と出会えた”という喜びであっただろう。
話に華が咲き、私はロッカーへの道を歩む事を説いた、苦しいけれど充実した日々を送る事を説いた。
その後彼から連絡を貰い、会社を退社、親元から離れ今はアマチュアバンドで頑張っているという。
インディーズでのデビューのイベントに参加するのだという、私はエールを送り彼はそれを受取った。
私のもう一つのブログの方にもこれと似たような被害を受けた人が居る。
その人は昔、重篤なうつ病で精神神経内科に通っておられた。
しかし周囲の友人・知人は皆、口を揃えて”うつ病は贅沢病だ、甘えだ、もっと不幸な人は沢山いる。
もっと強くなりなさい、もっと我慢なさい”と言う…。
私から言わせて貰えば何も知らない素人が余計な事を言うんじゃない!と一喝してやりたい気分である。
故に素人の戯言に耳を傾ける必要はなし、貴方は貴方で居るべきだと説いた。
氏は今、そういう自分のような鬱の人の心を影で支えるボランティアをしている。
同じ事は引きこもりでもあった。
何年も引き篭もって家から出られない少年が居た。
彼が何年も引き篭もっていたのにはそれなりの理由がある。
だが友達や学校の先生はじめ一番理解していなくてはいけない両親ですら彼の”本音”を理解出来ず、
学校へ行け、引き篭もりはお前のワガママだ。そんな事をしていたら社会の落伍者となると彼を責めた。
学校の通学途中彼は陸橋の上から身を投げようとし偶々その時居合わせた私によって未然に防がれた。
私は近くの公演で彼から話を聞きそして激しい憤りを覚えた。
直ぐ彼を家へつれて帰り事情を両親に説明、そして両親を諭し理解を求めた。
ここら辺りは私の独断場である、両親の心を”懐柔”する事など朝飯前だ(笑)
先ず彼の一番の理解者でなくてはならない親が彼の味方にならないと彼は変われないと思った。
故に親を懐柔し彼の側に付かせた。
その後学校へも赴き、教育委員会とのパイプを持っていると嘯き(笑)教員を説得。
虐め撲滅へ尽力してもらうよう進言(半ば脅し)てきた(笑)。
その後暫くして彼は復学、今は社会人として皆と共に忙しい日々を送っている。
兎に角周りの戯言に耳を傾けることを先ず止めて頂きたい。
そして何より回りが自分勝手に無遠慮に傍若無人なる発言をする事を控えて欲しいと思う。
うつも引き篭もりも”贅沢病”に非ず、本当に苦しんでいる人の心を抉る真似だけは勘弁願いたい。
常態行動心理学者の瀬木と申します。 ”常態行動”とは人間が普段、無意識的に行っている行動の事。 例えば朝起きて歯を磨き朝食を食べ、仕事をして、昼食を食べ、仕事再開し、帰宅、夕飯食べて、歯を磨いて寝るという一連の行動形態の事を指しています。 その”日常生活の無意識行動”の中に実は様々な問題が内包されている事に多くの方は気付いておられない。その諸問題を解決する為、何かと難しいと思われている心理学と言う分野を解り易く生活に根ざしたテーマを元に説明させていただきたいと思っています。
2010年10月30日土曜日
素人が軽々しく口にするな!
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